捕手論 (光文社新書)



捕手論 (光文社新書)
捕手論 (光文社新書)

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元審判の話が新鮮

「ヤクルトが好調な原因は古田のリードにあり」とか、ヤクルトが強い時代はよく言われましたが、「キャッチャーのリードでそんなに変わるものかな」と当時は思っていました。本書を読まれると、キャッチャー一人でゲームが大きく動くことを実感できると思います。とくに興味深かったのは、往年の審判へのインタビューも含まれていることです。審判からみてどういうキャッチャーに甘い判定を下しやすいのか等、面白い話がいろいろ出てきます。著者が野球を極めた(プロや社会人で)方でないためか、読んでいて「臨場感」というのはあまり感じませんでした。このため星4としました。
「江夏豊の21球」の裏面史として読みました

捕手・水沼の視点で「江夏豊の21球」を再構成した話が一番秀逸。これだけでも買う価値あり。
捕手論というより、球界を代表する捕手たちのエピソードを書いた本(無論、それなりに気づきを得る事はできるけど)。
様々な角度から捕手像を浮き彫りに

一昔前までは野球で日陰のポジションとされてきたキャッチャーに関する考察をしています。
キャッチャーから見た『江夏の21球』などの歴代選手の逸話や捕手のみならず投手、打者、
審判などの色々な立場の人間とのインタビューを交え、様々な角度から現在の捕手像を浮き彫りにしています。
それにしても、いくら本当のことだからって、森祇晶のこと悪く書き過ぎでしょ…


やはり夫婦

近代の名捕手 古田敦也が引退したときに手に取ったのがこの本でした。若き日の古田をはじめ、多くの名捕手について描かれている。谷繁、城島、若菜、達川、水沼、森、野村。。。他、多くの選手が登場する。

そんな中、感じたのは、バッテリーというものは夫婦に例えられるが、やはりバッテリーは夫婦なんだと。ある意味では親子かもしれない。けど、支えあって生きている存在で、且つ、お互いのいいところを伸ばしつつ、悪いところを受け入れつつ、その悪い部分を直すようにしていくことがお互いが名選手となる道なのだと。

直球を投げたいという若いピッチャーに変化球のサインを出して、無理やり変化球を投げさせるよりも、直球を投げさせて打たれ、直球を投げたことを省みさせることも大切なのだ。そうやって、少しずつ投球術というものを覚え、さらには独自の投球術に発展していく。これは川口と達川との間の出来事だ。

寄せ集め感のぬぐえないさえない投手陣。そんな投手陣に1段上のステージにあがるために1つずつ課題を与える。その結果が1シーズンを通してみると劇的な変化につながる。そうして出来上がったのが、トライアウトなどで集められた投手陣で大きく勝利数を伸ばした野村再生工場での古田の仕事っぷり。

この本が執筆されたのは阿部のルーキーイヤーを終えた後。阿部の良さ、足りなさ、将来性などが描かれていた。そして、今、立派にジャイアンツの正捕手となっている。続編として、阿部のその後や里崎などの今、トップに登りつめようとしている捕手たちを描いた作品も見てみたい。
「捕手の世界」という深い深い森の中への招待


 表があれば裏があり、投げ手がいれば捕り手がいる。投手が表なら捕手は裏だろう。たとえば「江夏の投げた21球」は「水沼のリードした21球」でもあるのに、ついた物語の表題は「江夏の・・・」となる。

 本書は、裏方と見られがちな捕手の立場から、プロ野球の知られざる世界を解き明かそうとした画期的な書物である。捕手が実にいろいろな役割を担っているかが解るだけでなく、打者や審判とのトボケた会話に笑ってしまったり、バッテリーの人間味にホロリとさせられる場面、またその正反対の場面もあり、読んでいてなかなかおもしろい。オリンピックのスプリンター飯島選手が「ドン!」の声でスタートしてしまった話など、ペーソス漂う寸劇である(真偽はわからないが)。

 異色なのは「メジャー捕手」「ブロッキング」「キャッチング」の章だ。これらは私にとって未知の世界であり、「捕手」という名の深い深い森のような世界だ。もしその中に迷い込んだらもう戻れないのではないかと思うほど奥が深く、出口が見えず、恐ろしくもあり、しかし前へ前へと進みたくなる森だ。

 来期メジャーへと進路を定めた城島捕手は、今やこの深い森に一歩足を踏み入れたと言えるだろう。日本人捕手として前人未到の森である。はたしてどんな世界なのだろうか。

 最終章「捕手とチームプレー」も新鮮だった。選手だけではなく、コーチングスタッフや監督も含めた新しい概念の総合的チームプレーがそこに存在する。最後の大野投手のコメント「このキャッチャーのために...」は感動的であり、捕手のひとつの理想像を示唆しているだろう。

 



光文社
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