ドキュメント戦艦大和 <新装版> (文春文庫)



ドキュメント戦艦大和 <新装版> (文春文庫)
ドキュメント戦艦大和 <新装版> (文春文庫)

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大和の最後

戦艦大和の沖縄特攻を描き出した作品です。大和側乗員、アメリカ側飛行機搭乗員などの証言を元に組み立てられています。大和は超弩級戦艦で、巨大ですから、艦の各配置の乗員の証言が集められ、非常に立体的な記録となっています。戦闘は、常に混乱状態でしょうから、各証言の食い違いもそのまま記載され、その混沌ぶりがわかって興味深く思いました。この戦いは、飛行機対戦艦の戦いで、空対海の戦闘がどういうものかもよくわかるようになっています。非常に多くの証言を集めており、それを巧みに整理していて、労作だと思いますし、戦闘を伝えるものとして、とても良い本だと思いました。
綿密な資料と60名を越える生存者の証言に注目。

日米両軍の綿密な資料と60名を越える生存者の貴重な証言で戦闘の一部始終を立体的に構成。簡潔にして克明な描写に息を飲んだ。数次に亘る米艦載機の攻撃を受けること約2時間、大和は航空魚雷10本、爆弾数発を被弾。必至の復元作業の甲斐なく艦内の防水区画は破綻し、海水は怒涛の如く渦巻く。4月7日午後2時21分、ついに戦艦大和は九州南東坊の岬沖に沈んだ。1機の飛行機の援護もなしに水上艦艇のみによるこの無謀な沖縄特攻の結果、連合艦隊は戦艦大和をはじめ、軽巡矢矧、駆逐艦4隻を失い、3,721名の戦死者を出した。対する米軍は出撃367機中、わずかに撃墜6機、戦死者14名のみだった。制空権を持たない艦隊がいかに脆いか日本海軍は海戦当初、真珠湾でまたマレー沖で実証済みであったことが恨めしい。戦艦大和は史上最大にして世界最強の戦艦として生まれたが、既に戦いの主流は航空機を擁した機動部隊の海戦にになっていた。米戦艦群との砲戦を交える夢も叶わず、大和の沈没は大艦巨砲時代の終焉を告げ、七つの海洋に君臨した戦艦の時代は幕を閉じた。
その場の事実は真実

大和の沖縄特攻の決定から沈没、その後についてを描いています。
タイトルの「ドキュメント」という言葉に何となく違和感を覚えて、「そのうち読む本」の中に放置していたのですが、まさにドキュメントでした。つまり日米の兵士の報告や証言を集め、時系列に並べており、著者の主観を極力控えているからです。
そのため人によって事実の認識が異なるのですが、食い違いを指摘した上で、そのまま掲載しています。生き残った日本兵の証言も様々な本、雑誌、新聞などから集められ、その場にいた人の証言は生々しく、その場の事実は真実といえるでしょう。
P.260には様々な証言で得られた大和の被弾位置を示した図があります。読み進む際にはこの図があると理解しやすいと思います。
絶対に読むべき一冊

なぜ大和が建艦され、なぜ沖縄特攻という愚行が実施されたのか?
それはなぜ太平洋戦争が始まり、なぜ敗れたのかという問いの答えにもなっている。
特に最前線で闘う兵ではなく、安全な場所にいる者達から威勢の好い意見が出てくるのか?
今でも日本の社会のあちこちで見られる風景である。そして、その結果について、それを決めた人間達は責任逃れをする。
これを読めば「戦艦大和」は米軍に沈められたのではなく、日本帝国海軍に沈められてと思うだろう。
陸軍が愚かだったことは周知の事だが、海軍も愚かだった事を証明してくれる作品。
そして、日本人が全員愚かだという事が分る作品。決して60年前の事ではなく、今の日本人も愚かだという事を教えてくれる一冊。
「戦艦大和」の詳細記録に「ヒロシマノート」を思い出す。

戦艦大和生存者の証言と日米の保存資料を元に、その特攻作戦の経過詳細記録を「作戦準備」「作戦発動」「米攻撃隊来襲」「戦艦大和沈む」「戦いのあとに」の5項目に整理し纏めた書である。その記録には取材した人名や起きた時間が明示され、作者の主観を排除している。記録内容は事実を淡々と記載するに留め、小説に見られる読み手への配慮は薄い。本書の記載内容は、「時間」「事象」「証言者」を軸としたデータベースともなり、本書を元に多方面から本特攻作戦を整理することが出来る。
作者は乗員生還者の一人であり、記録を淡々と記録する中にも、戦艦大和内での戦闘の様子が生々しく描かれている箇所が随所にあり、「米攻撃隊来襲」「戦艦大和沈む」の項では「ヒロシマノート」の情景を思い起させる。



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