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フランコ スペイン現代史の迷路 (中公叢書)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 211013 位
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不思議な独裁者?
「独裁者」という言葉に、おそらく多くの人達は嫌悪感を抱くに違いない。しかし、あらゆる歴史において、あらゆる国において登場した独裁者は、決してステレオタイプに抱く、冷酷残忍、国民を圧殺し自らの利益を求める者とは、一概に言えない。
独裁者はあらゆる政治形態において登場する可能性を持つ存在であるが、皆が同じ顔をしているのであれば、歴史はもっと単純になっていたであろう…イタリアのムッソリーニにしろ、ギリシアのメタクサスにしろ、そしてスペインのフランコにしろ…。
典型的な職業軍人としてモロッコを中心にキャリアを積んでいたフランコは、率先してクーデタを起こしたわけでもなく、内戦を長引かせるつもりもなく、統治後はファランヘ党体制が永続的に続くものであるとは考えず、立憲君主制へのシフトを紆余曲折経ながらも準備し、死後に自らに関するものは一切残さなかった、あまりにも不思議な独裁者…しかし、「不思議」と思うのは、我々の「独裁者」という言葉への固定概念から生じた感情であるのかもしれない。
力作である。
良い独裁者はありうるか
表記のような問題意識から、近年再評価されつつあるというイスパニアの独裁者フランコについて知るべく読んだが、まことに興味深いものだった。フランコといえば、日本人には、内戦で民主的政権を倒して独裁者となった者程度の認識しかなく、その内戦にヘミングウェイやオーウェルなど有名知識人が参加し、反乱軍によるゲルニカ爆撃をピカソが糾弾したことで、ひどく悪いイメージを持たされているが、著者は、前者の属した「国際旅団」の八五%は共産党員で、ゲルニカ爆撃が特に非道な行為とは言えない、と指摘する。イスパニアは第二次大戦で中立を守ったが、その経緯も詳しい。ヒトラーと近い関係にあったのも事実だが、フランコを一貫して擁護したのはむしろチャーチルだった。戦後、朝鮮戦争勃発までイスパニアは国際社会から孤立させられていた。王位継承者のドン・フアンは王政復古を画策しつづけるが、フランコはその息子のフアン・カルロスを引き取ってその成長まで摂政として政権を握り続けた。確かにファランヘ党とフランコの独裁ではあったが、バスク独立運動は王政復古後の今も続いているし、ポル・ポトやピノチェット、フセインに比べた時、フランコの独裁が特にひどいものだったとは思われない。 しかし、判断はまず、事実を押さえてからである。ヴルピッタ「ムッソリーニ」とともに一読をお勧めする。 小谷野敦
中央公論新社
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