考察は浅いが、便利。 「戦後教育学」による、近代日本教育史のまとめ。記述もコンパクトで、教科書としては優秀。ただ、「戦後教育学」の限界でもあるが、「戦前教育=教育勅語=国家神道=軍国主義」という単純なバカの一つ覚え的図式はいただけない(国家神道とは、戦後左派による「戦前」糾弾の産物であるという画期的な知見は新田均『「現人神」「国家神道」という幻想』PHP出版参照)。小熊英二『<民主>と<愛国>』第9章「戦後教育と「民族」」と併読すると、どうして「常識的な教育史」がこのような色合いになったかよくわかる。
まとめ。教科書としては良い。ただ、あくまで「教科書」だから、この本を疑い、検証することから、本当の勉強は始まる。そう思いたい。
近・現代日本史がよく出題される大学受験志望者のかたにもリコメの1冊 山住先生ご自身があとがきの中で「通史を簡潔に書くことは容易ではない」と書いていらっしゃるように、開国より1世紀半の歴史を書くあるいは理解することはエネルギーの要ることだ。が、山住先生のこのご著は、1.「開国・維新と教育」などのように5つつの山に分けて、時系列で書かれていること、2.考察のポイントが整然とかつ山住先生の教育に対する深い識見や熱い希望を込めて書かれていること、3. 見だしをこまめにかつ的確に設定されていること、ので、とてもわかりやすい。 歴史の勉強は、個々の事項を深く知ることもさりながら、出来事の流れ、出来事の意味するところのながれを汲みとることが大切だとはよく言われることだが、この点からもこのご著はおすすめ。日本の近・現代を勉強する際の推薦図書としてこのご著がよくあげられているのも納得できる。近・現代がよく出題される大学受験志望者のかたも、ぜひ読んでみてください。その際、用語などに馴染んでいくために、あるいは流れをおおまかに把握するために、まず見だしだけを順に読んでいくと理解しやすいかも。 この著の一番すてきなことば、「教育史の書物もまた、すぐには教育政策ましてや日本社会全体を動かすことはできず、無力である。しかし、普遍性を求めようとの姿勢で教育史を探るとき、未来に向けての見識と力量を身につける道が開けてくるに違いない。」 国益を上げることを目途として教育統制・“効率的な”教育推進を行おうとする国と「学問の自由」と「すべての子どもの幸福」を追求したいと願う国民の対立。この著には、第一版の1980年代中葉までが論じられているが、それから約20年、この対立はいまだ解決をみないばかりか、ますます顕著に表出されてきているように思う。教育という大切な領域においては、「歴史は繰り返す」ですますことは避けたい。
過去を知る。 本書では日本の教育の歴史が簡潔に述べられており、一つ一つの出来事に関する細かな記述はなされていないものの、大まかな流れをつかむには最適な一冊と言える。 日本だけの事柄に終始しているのではなく、日本に影響を与えた海外の思想なども取り入れられており、そしてその時々の時代背景(民衆の生活など)が何を必要としていたのかが、歴史の流れの中から読み取る事が出来る。 現在、日本社会が抱えている教育の問題は数多くあるが、その日本を知るにはやはり過去の教育に関する紆余曲折を知る必要があるであろう。そこからひらける展望を持って、現在を見つめなおすべきではないだろうか。 また、巻末に掲載されている年表や、索引などを利用すれば更に理解を深めやすくなるのではと感じた。
教育の今を知るために 過去を知ろうとしないものは、現在に盲目なものである。 使い古された言葉ですが、永遠の至言でもあります。 本書は、明治以降から80年代までの教育の歴史を、昨年他界された 教育史研究の第一人者が、コンパクトかつ詳細に語っています。 教育改革や教育基本法改正が叫ばれる昨今、現在の日本の教育行政には どのような権力や利害関係が絡んでいるのか。 それが透けて見えてきます、この本を読むと。 過去は現在について雄弁に語っています。 現在の教育行政の裏側について知りたい人に、おすすめの本です。
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