鹿鼎記 8 栄光の彼方



鹿鼎記 8 栄光の彼方
鹿鼎記 8 栄光の彼方

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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文革のさなかに発表された本

〜 金庸の武侠小説の邦訳の最終シリーズの最終巻である。金庸とは、現代中国を代表する作家で、中国、香港、台湾で金庸の名を知らぬ人はいないと断言できるほどの超人気作家。中国では魯迅、沈従文、巴金に続く4番目の作家である。
 私も、金庸の武侠小説を全て読んだが、この鹿鼎記8巻のあとがきを読んで、恥ずかしながら、はじめて金庸の武侠小説の原題〜〜本が1955年から1972年の間に書かれたものであると知った。
 この鹿鼎記は66年に始まる文化大革命のさなか、林彪のクーデター未遂事件があった72年の発表である。
 文人・金庸が時代に対して何も言わずに小説を書いたとは思えない。その時代に書かれたものであることを想起して読むと、深みが増すかもしれない。本書の主人公は、他の作品とは〜〜打って変わって、誠実で努力家の青年ではない。ずぼらでやんちゃで努力など何もしない、世渡り上手の小僧が主人公である。武芸など習う気もないので当然、何もできないが、ひょんなことから、いろんな立場の人間から重宝され、友好を結び、伯爵にまで上り詰めていく。その最後のなれの果てが、8巻である。
 当時の中国は「共産主義」「毛沢東主義」の社会〜〜である。その中で世渡り上手に生きてきた人間が、どれだけいただろうか。世渡り上手でなければ、かたくなな信念のままに弾圧を受け、散っていった才能ある人も少なくあるまい。そんな時、生き抜くことを選ぶのか、信念に殉ずることを選ぶのか。そうした疑問を、この鹿鼎記は風刺しているのかもしれない。〜



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