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東京裁判への道(上) (講談社選書メチエ)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 180540 位
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人を責めるものが生き延びる
『朝日ジャーナル』に連載された文章に加筆されたものと聞くと東京裁判史観を打破せよという人々から相手にされそうもないが、著者は新発見の一次資料である尋問調書を丹念に当って冷静に東京裁判の前史を描いている。「勝者の裁き」だとあの裁判を否定する人も、だからこそその裁きに日本の指導者達がどのように立ち向かったのか知るべきであり、日本の敗戦に指導者達がどのように落とし前をつけようとしたのか、彼らの発言だけでも読む価値は十分にある。上巻は東京裁判の方向性を決定付けた木戸幸一と田中隆吉の発言を軸に、下巻は闇に葬られた細菌戦や、その他の戦犯たちの発言を取り上げている。
皇道派の領袖であった真崎甚三郎は「天皇の力をもってさえ実現できなかったことが、米国の力によって達成されたことを実感しています」などと親米発言を繰り返す。若手将校がどのような思いで聞けばよいのか。笹川良一は他人の責任を延々と語り、石原莞爾は満州建国の大義については堂々と語るも満州柳条湖事件の関与は否定し、廣田弘毅は城山三郎が言うようにYesかNo以外を語らなかったわけではなく、真摯に自らの知るところを語っている。
東京裁判は、宮廷における木戸と近衛の争い、陸海軍の縄張り争い、皇道派と統制派のいがみあいなど、戦前の日本の中枢でどれほど意思統一がなされなかったのかを露骨に示すという意味で、日本人自身が検証する価値は十分に価値がある。そして責任の取り方に指導者の器の大きさは表れるとすれば、日本が当時抱いていた指導者の器はどれほどのものだったのか、私たちは知る必要がある。
右も左も中道も
戦争犯罪、とりわけ東京裁判に関する研究の第一人者である著者が、長い年月をかけて丹念に掘り起こしてきた極めて貴重な資料を基に、東京裁判では何が裁かれ、何が裁かれなかったのかを熱く、しかしあくまでも研究者の冷静な視点をもって分析し、論じてゆく迫真の書。戦勝国の一方的な裁判だったとして、現在なお多くの論争を巻き起こしている東京裁判ではあるが、さて、論争の当事者のどれほどが真実を知っているというのか。本書に示された膨大な資料でさえ、すべての真相を語り尽くしているわけではなく、戦後60年を経てなお、隠蔽された闇は明らかにされていない。東京裁判の何が問題であったのか、戦犯とは一体誰を指すのか、その問いを持つ者であれば、「右」も「左」も「中道」も一読の価値はあるだろう。裁判をめぐっての生々しい人間像は臨場感に溢れており、読みものとしても面白い。戦後、戦犯の「被疑者」であったことさえ大物の証とばかりに利用し、美談の主を演じ続けた巣鴨からの一生還者のエピソード(下巻)には、思わずニヤリ・・・。
講談社
東京裁判への道(下) (講談社選書メチエ) 東京裁判 (講談社現代新書) 南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書) 戦争責任・戦後責任―日本とドイツはどう違うか (朝日選書) 東京裁判の教訓 (朝日新書)
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